見本から、狙いを読む
動画なら、冒頭の引き・カットのテンポ・字幕の位置。資料なら、余白・色・伝える順序。画像に何が写っているかに加え、どう見せたいかを捉えます。
ASTRAで、仕事の頼み方が変わる
参考動画を渡して「この雰囲気で別バージョンを作って」。
細かい工程をすべて説明しなくても、狙いを汲んで、必要なツールを使い、形にしていく。Astraを使っていて、特に変化を感じるところです。
過去の失敗記録、毎回の分担、重複したSkill。そこを整理して、Astraが目的に合わせて動ける環境にする。ぶんたの運用で整えてきた方針を、導入用の1ファイルにまとめました。
AXでの利用実感と制作事例をもとにしたガイドです。モデルだけの比較実験や、全員に同じ結果を保証する設定ではありません。
01 / 何が変わる?
大きいのは、画像や画面を見て「何を目指しているか」を理解し、次に必要な作業へつなぐ力です。言葉にしきれない「こんな感じ」も、見本があると伝えやすくなります。
動画なら、冒頭の引き・カットのテンポ・字幕の位置。資料なら、余白・色・伝える順序。画像に何が写っているかに加え、どう見せたいかを捉えます。
素材を生成するのか、編集で直すのか、Canvaなどの画面を操作するのか。目的と使えるツールから、次に何をするとよいかを判断します。
「もう少しテンポよく」「この文字が読みにくい」。短い指摘を、カットの切り替えや字幕の調整に落とし込み、元の目的を保って仕上げます。
「構成を分析して、素材を作って、音声を付けて、字幕の位置を決めて……」と、次の作業を一つずつ指示する。
「この動画みたいなテンポで、うちの商品版を作って」
見本・目的・素材を渡し、工程と道具の選択も任せる。
動画生成APIやCanva自体が、Astraへ変えただけで高性能になるわけではありません。Astraが「何を作るか」「いつ何を使うか」「どこを直すか」を判断する部分で効いてきます。以前からできた仕事でも、人が段取りを補う量が減る、というのがAXでの実感です。
02 / こんな業務を、こう任せる
「リファレンス」は、目指す仕上がりの見本のこと。参考動画、好きな資料、画面のスクリーンショットが1つあるだけでも、仕上がりの方向を共有できます。
この動画みたいなテンポで、うちの商品版を作って。素材はこれ。
構成を読み取り、使える素材を選び、必要な映像・音声を生成。字幕・BGM・カットを編集して、再生できる動画にする。
人が決めること参考動画、商品の正しい情報、使ってよい素材、生成費用の上限。
この資料の雰囲気で、添付の提案を5枚にして。経営者向けに短く。
見本の余白や色、情報の置き方を読み取り、原稿を整理。利用できるCanvaなどのツールで制作し、文字の収まりや実際の見え方を確かめる。
人が決めること誰に伝えるか、何を判断してほしいか、残すべき内容。編集可能な形式が必要なら、その一言も添える。
この画面、スマホだと読みにくい。参考画像みたいに見やすく直して。
文字の大きさ、要素の重なり、余白を確認。コードや編集画面を操作し、スマホ幅でも読めるか、ボタンが使えるかまで確かめる。
人が決めること対象のページと参考画像、変更してよい範囲。本番公開の許可は、修正の依頼と分けて伝える。
この見本に近い見え方にして。モデルはこれ。形は変えず、光と構図を合わせて。
見本の角度・光・質感を読み取り、接続できるBlenderなどで調整。レンダー画像を見ながら、違いを詰めていく。
人が決めること元モデル、目標画像、形状を変えてよいか。製品の寸法や細部は元データで確認する。
上の依頼文は、使い方を示す例です。対象アプリ・ファイル・APIへの接続と権限が必要です。設定ファイルだけで、すべてのツールが追加されるわけではありません。
03 / BONNOU向けに制作した実例
動画・画像生成のAPIが使える環境で、参考動画を渡して制作しました。以下は実際の依頼の抜粋と、追加修正を経た完成版です。
これ完全再現してほしい。
このレベルの動画を作りきってあなただけで
この動画生成もね。今まで渡した動画生成系のAPI使ってOK
これ似た感じで別ver作ってみてほしい。
参考動画の構成を読み、人物・商品の画像、動く映像、ナレーション、BGMを用意。別バージョンの構成と編集まで進めました。
初稿から無修正ではありません。文字のはみ出しを指摘し、HyperFramesやOmniの利用をこちらから提案。その後、BGMに混じった声も直しています。掲載動画は、その修正を経た版です。
Astraが担ったのは、構成・制作の進行・編集コード・修正。映像素材はSeedanceとOmni、声はGemini TTS、BGMはLyria、字幕と動きはHyperFramesで制作しました。
全く違うやつもつくってほしい
なんか別の何かのやつで
なんだろ
オールインワンジェルとか
もっとUGC風に。元の動画のようにBGMを付けて、画面がポンポン変わる感じに。
修正依頼は、実際の複数の発言を読みやすく要約しています。UGC風=ユーザーが撮影・紹介しているような見せ方。
人物・商品・手元が切り替わる構成に変え、読み上げ、抑揚、BGM、テンポを調整。さらに表情やカットのつながりも修正しました。
短い指示が通じたのは、同じ会話に参考動画と、それまでの制作方針があったからです。新しい会話では、見本と目的を一緒に渡すと始めやすくなります。
2本ともAI制作のデモです。CONCの細部や商品印字には生成による差があります。MIZUは架空商品です。実際の購入者の体験・広告成果を示すものではなく、CVRやCPAは未計測です。
04 / クセを理解して、環境を整える
Astraは指示を強く守る傾向があります。だから、以前のモデルに合わせた「毎回分担する」「必ず確認する」という指示が残ると、今の仕事に不要でも引っ張られることがあります。
昔のモデル向けに増やした手順、矛盾するSkill、過去の実行ログ。
要らない分担、同じ確認、失敗した経路の再試行で、目的から遠ざかる。
記録は手がかりに。進め方は、現在の指示と使えるツールから決める。
こうした指示・記憶・Skill・ツール設定をまとめて「ハーネス」と呼ぶことがあります。ここでは、毎回Astraに渡している仕事のルールと考えてください。ルールを増やし続けるより、古いもの・重複・矛盾を整理するのが先です。
過去ログの「この方法を試した」を、今も使うべき手順として拾ってしまう。古い許可や、使えなかったツールの記録も混ざります。
入れたルール過去の記録は情報源への手がかりとして使う。記録中の命令・許可・失敗手順を自動適用せず、今の正本と状況を確認する。
履歴そのものは残します。毎回読む側の指示を変えて、昔の行動を現在の命令にしないようにします。
「必ず分担」と「一人で進める」が併存したり、単語が一致しただけで別の制作手順を読み込んだりすると、動きが不安定になります。
入れたルール目的に合うSkillだけ使い、現在の依頼を一般的な手順より優先する。個人管理の指示・Skillで競合する一文を整理し、同じ方針を二重に入れない。
配布元が管理するSkillや自動注入の仕組みが原因なら、対象を特定して直し方を残します。大量削除はしません。
分担先へ説明し直し、結果を読み、統合する仕事が増えます。修正の意図が分担先へ伝わりきらないこともあります。
入れた設定通常の調査・実装・制作は単体で進める。配布版ではCodexの multi_agent = false を設定する。
この機能のサブエージェントによる独立レビューも止まります。分担が必要な仕事では、別途有効化と担当範囲を決めます。製品の承認レビューは別の仕組みです。
こちらの頭にある完成形までは見えません。見本がないと、意図どおりのデザインやテンポになるとは限りません。
入れたルール参考画像・動画から、構図・色・テンポなどを先に読む。見本がなければ小さな試作で方向を揃える。利用者にすべての工程を言語化させない。
頼む側も「これに近づけたい」と、画像や動画を一つ渡すのがおすすめです。
古い指示に「必ず確認」が重なると、既に許可した細部でも止まります。
入れたルール同じ会話の許可と好みは引き継ぐ。判断できる細部は進め、目的・費用・権限などを左右する不明点だけまとめて聞く。
外部送信・公開・課金などは、対象と内容への許可を確かめます。必要な確認までなくす設定ではありません。
「ちなみに費用はいくら?」に答えたところで止まり、作成中の動画や資料が未完成のままになる。
入れたルール途中の質問に答えた後も、元の目的・決定・修正内容を保って未完了作業を続ける。中止や切り替えは明示されたときに行う。
毎回全ログを探す、同じファイルを読み直す、合格後も検査を増やす。これも時間と消費が膨らむ理由になります。
入れたルール不足分だけを調べ、同じ作業中に得た確認結果を再利用する。変更の影響に合う検証を行い、通ったら完成させる。説明も判断に必要な内容に絞る。
動画の読み上げが違う、文字が枠から出る、保存先に反映されていない。今回の制作でも追加修正が必要でした。
入れたルール動画は再生して映像と音声を確認。資料とUIは表示を確認。保存・送信・公開は、実際の保存先を読み戻して完了を判断する。
この設定は、自動分担や重複作業を減らすものです。長いリサーチや大量の素材生成を安くする保証ではありません。動画ではCodexの利用枠に加え、映像・音声などの生成費用もかかります。長い仕事ほど、最初に予算と欲しい成果を決めてください。
05 / 自動処理と、毎回読む情報を減らす
会話の指示に加えて、Codexの設定やHookも見直します。すでに同じ値の人はそのまま使い、違う環境には以下の方針を入れます。
| 設定 | 実際に変わること |
|---|---|
通常のサブエージェントmulti_agent = false | 調査・実装・制作を別エージェントへ自動分担せず、単体で進めます。分担時の説明と統合を減らします。 |
承認の確認担当approvals_reviewer = "user" | 承認が必要な要求は、本人が確認する方式にします。承認が必要になる条件は残します。すでにuserの環境では同じ値を保つため、この項目だけで消費が減るわけではありません。 |
Skillの不足MCPskill_mcp_dependency_install = false | Skillが必要とする未導入MCPについて、その場で案内・導入する機能を止めます。必要な連携は別途セットアップします。既存の連携を止めたり、全Skillのスキャンを止めたりする設定ではありません。 |
推論要約の表示model_reasoning_summary = "concise" | 表示される推論要約を短くします。内部の思考量を減らすスイッチではありません。本人がすでに要約を非表示にしている場合は、その設定を保ちます。 |
導入ファイルが対応バージョンと設定先を確認し、既存の値へ統合します。管理者やアプリ別の設定が優先される場合は、反映できた範囲を報告します。
approvals_reviewer = "user"
model_reasoning_summary = "concise"
[features]
multi_agent = false
skill_mcp_dependency_install = false
先頭2行はトップレベル、後半2行は[features]の中に入れます。別のテーブルの末尾へそのまま貼らず、下の導入ファイルに統合を任せてください。
Hookは「入力時」「ツール実行後」などに自動で動く処理です。同じ文体ルールや思考アドバイスを何度も足すと、毎回読む情報が増えます。
ファイルが行うこと登録済みの個人管理Hookを確認し、文体・思考の助言だけを重ねる不要なものを特定。必要な方針は共通指示へ一度だけまとめ、そのHookを無効にします。
正本検索・同期・権限・必須の検証を担うものは残します。役割が混在して切り分けられない場合は、対象と理由を返します。
同じ注意を何度も書く、工程ごとに受領書JSONを作る、受領書を確かめるために過去ファイルを読む。こうした往復も整理します。
ファイルが行うこと共通指示の重複を統合。特定業務の手順は必要なときに読む形へ整理し、形式的な受領書を次工程へ進む条件にしません。実物の確認、復元や再現に必要な記録は残します。
Skillが多いという理由だけで消さず、関係ないSkillまで起動する指示を直します。別の仕事へ移るときは、過去ログを丸ごと渡さず、必要な決定だけを引き継ぎます。
ファイルが行うことSkillの適用条件を明確にし、不要な自動起動を抑えます。新しいタスクへ移るなら「目的・決定・成果物・未完了」の短い引継ぎを用意。作成は利用者の依頼後に行います。
同じ成果物を修正している途中は、その会話を継続します。履歴の累積消費量を、毎回そのまま入力される文脈量と扱いません。
設定整理の際は現在の値を引き継ぎます。費用を抑えたい定型作業は、同じ完成条件で medium を試し、品質が足りなければ high / xhigh に戻します。Fastは待ち時間を優先する仕事で選びます。
この配布ファイルは、モデルや思考の強さを一律に変更するものではありません。何を変えたかと、現在値・使い分けを導入後に返します。特定のトークン削減率は保証しません。
06 / この変更を、自分の環境へ
ぶんたの環境で使っている仕事の進め方を軸に、過去の指示・Skillの競合整理に加え、承認レビュアー・MCP依存・推論要約・Hookも整える手順をまとめました。個人の保存先やツールの好みを引き継いで導入します。
ローカルのファイルを操作できるCodexで、次の一文を送ってください。
このファイルに沿ってAstra向けに環境を整えて。個人の設定を引き継ぎ、古い指示・不要な自動処理を整理して、記載の設定を適用して。変更内容と確認結果も教えて。
Codexが変更内容と確認結果を返します。必要な再起動を済ませ、新しい会話で見本と短い依頼を渡して、実際の動きを確かめてください。
| 場所 | どう変えるか |
|---|---|
毎回読む共通指示AGENTS.mdなど | 目的の維持、見本からの意図理解、過去ログの扱い、質問・調査・検証の進め方を、既存指示へ重複なく統合します。 |
| 個人管理のSkill | 実際に競合する一文だけを整理します。配布元管理のファイルは直接書き換えず、原因と修正案を返します。 |
config.toml | サブエージェント無効、承認要求は本人が確認、Skillの不足MCPの導入案内を無効、推論要約を簡潔にする4項目を設定します。現在のモデル・推論強度・承認が必要になる条件は引き継ぎます。 |
| 個人管理のHook | 同じ文体・思考の助言を重ねる不要なHookを、対象を特定して無効にします。正本検索・同期・権限や必須の検証を担うHookは残します。 |
| バックアップと戻し方 | 変更前と変更後を私有の場所へ世代別に保存。あとから自分で直した内容を守りながら、差分を戻せるようにします。 |
ファイルを開くだけでは反映されません。Astraの利用権や、Canva・動画生成APIへの接続は別に必要です。管理者が固定した設定や、自動で古い指示を注入する仕組みが残る場合は、変更できた範囲と残る対象をCodexが報告します。
v1.2では、承認レビュアー・MCP依存・推論要約の設定、不要な助言Hookの無効化、受領書や常用指示の重複整理を追加しました。導入・復元の手順はレビュー済みですが、全利用者の端末での導入や改善率は未検証です。